2011年09月10日

田島君

P1000816s.jpg

「先生、臨時列車を撮ってくる!」
授業中の話だったらしい。

「行ってらっしゃい!頑張って来いよ!」
授業中の先生はそう言って送り出したらしい。

「なんだそれ?」
たまり場だった放送室で、仲間からそんな話を聞いた。

生徒も無茶苦茶だけれど、先生はもっと無茶苦茶だ。
その先生は、そんな調子なので、学校の中では敵も多かったらしい。
が、生徒の気持ちを一番に考えてくれる先生だと言うことは僕思っていたことだ。

 田島君は鉄道写真を撮っていて、結構バイトを頑張って機材を買っていたらしい。
そんな田島君が、高校線3年の夏、高校野球の予選での応援の時。
カメラを構えて居たのを覚えている。

 キヤノンA1にトキナー80-200mm/2.8だった。
A1にはモータードライブも付けていたので余計に目立っていた。

僕はこの頃、写真に少し興味があったが、写真をやっていたわけではない。
買えないので、雑誌で見ていて覚えていただけだ。

 あるバッターが打席に入った。
バシャバシャとミラーがアップダウンを繰り返し、モーターがうなる音が聞こえたのはほんの数秒。
「よし、終わりっ」
とフィルムを取り出して、交換している。
「今の何?」
僕は興味を持って聞いてみた。
「あ、あいつに頼まれてさ、フィルム1本渡されたんだ。」
「って、その数秒で終わり?」
「いや、だって、撮ってくれって言うから撮っただけだよ」
ニヤッと笑いながら僕にそう言った。

その時に、面白いヤツだとは思っていたけど、やっぱり面白いヤツだと再認識した。

それから、僕の中ではキヤノンのA1は無理だし〜、AE-1プログラム?
その辺を買えないだろうか、もちろん中古で、そんなふうに考え始めていた。


 僕がカメラを買ったのは、その後だいぶ経ってからだったので、田島君と写真の話をしたことはない。
彼も僕が写真をやっているなんてことは思ってもみないことだろう。

が、あの夏の田島君の姿を見なかったら、たぶん僕の写真への興味は、興味の段階で終わっていたことだろう。

面白いヤツだったな〜と、なんか突然思い出した。



 その田島君は予選敗退後、野球部員に写真を売りさばいていたとかなんとか。モノクロで1枚いくらだったんだろう?
現像は学校の暗室でやっていたとかなんとか。
結構稼いでいたらしい(笑)

その辺は噂話なのだが。
当時、キヤノンA1と言うと結構良いカメラだった。
が、聞いた話では電池食いで有名だったらしい。
さらにモータードライブなんて言うと、当時の「撮り鉄」仕様だったんだろう。

トキナーの80-200mm/2.8も純正レンズの代替え品としてはとても有名なレンズで、価格も安めで写りもバッチリと良いことづくめだったらしい。
あれを見ただけで「カッコ良いなー」と思ったものだ。


で、今回の写真は、JR中央快速線・青梅線で少し前まで走っていたオレンジの電車。
新聞で「あと2編成」と言う話を読んで、偶然見かけたときに偶然持っていたパナソニックGF1に20mmレンズを取り出して、おもむろに撮ってみただけで、作品的なものでもなんでもないのは構図を見れば明らかだろう。
だから署名すら入れていないw
posted by なか at 22:04 | つれづれ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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